ドイツ1人旅 2日目 シュトゥットガルト〜ミュンヘン


●思い出深きドイツ1人旅行。長編旅行記その2。
  南ドイツ第二の都市シュトゥットガルトは、治安も良くて居心地は最高だ。


シュトゥットガルト中央駅外観 シュトゥットガルトの街の公園

ドイツ1人旅 目次

※この旅行記は長文であるため、複数ページに渡って記載しています。

タイトル 旅行日時 国・地域 地名 旅行先・観光したもの メンバ
備考
ドイツ1人旅
(長編)
1日目
2日目
3日目
4日目
5日目
2009/07/17
〜07/22
ドイツ フランクフルト レーマー広場、街歩き 1人旅 長編

初1人
海外

カジノ
シュトゥットガルト 街歩き
ミュンヘン アリアンツ・アレーナ、街歩き
バーデンバーデン カジノ、カラカラテルメ
ケルン 街歩き、ケルン大聖堂

2日目 街歩き〜フランクフルト中央駅へ

目覚まし時計の変わりに使っていた携帯電話が鳴っている。私はそれを止めて伸びをした。
一度も夜中に目が覚めることなく、私は起きることができたようだ。

さて、とりあえず窓の外を見る。今は5時であるが、外はまだ夜明け前ながら明るい。
昼間と比べれば十分暗いのだが、真っ暗というわけではないので、いかんせん夜中という感じがしない。

なぜこんな時間に起きたかというと、マイン川沿いに朝市があると聞いていたので、それを見に行こうと思ったのだ。
朝市とは朝に行われる蚤の市。つまりフリーマケットのことである。
唯一、ドイツで値切ることができる店がフリーマケットということで、
私が持つ大阪人の値切りスキルが通用するかもしれないと期待していたわけだ。
ホテルの朝食にはまだ時間が早いが、朝市で軽食程度は取れるらしいので、それを期待することにした。

顔を洗い服を着替え、部屋を出た。
フロントには昨日の初老の方ではなく、スキンヘッドの黒人のスタッフがいた。
年齢は分からないが、少なくとも老人ではないようだ。30代あたりだろうか。

私が鍵を預けると。

チェックアウトか?

と聞かれた。
いきなりの不意打ちである。

だがしかし、今の私は十分に睡眠を取り、余裕がある。
「No... Just working.」そう私が言うと
「OK」という答えが返ってきた。

ホテルを出た私は、もっとマシな言い方はなかったのか、
と自分でツッコミながら、高層ビルが見える方へと歩き出した。

まだ日も昇らぬフランクフルトの町は、早朝とあって人気も少なく、道路に出てもほとんど車は見えなかった。
しかし明るい。起きたときはもうちょい暗かったのに。
日の出が近いということなのだろう、空は白色をしていた。

道路を見ると、やや濡れた後がある。
なるほど、昨日の夜から数時間前まで雨が降っていたということだろう。
今日は降らなければいいんだが…。
少なくとも今は降っていなかったので、自分は雨男ではないと言い聞かせながら、静かな町を一人歩いた。
  

フランクフルトはドイツ最大の金融都市である。
ドイツは地方分権の歴史が長く、ロンドンや東京のように首都一極集中型ではない。
政治の中心たる首都はベルリンにあるが、経済の中心はフランクフルトにある。


そしてそのフランクフルトを象徴するのが、ドイツを代表する銀行の本店が入居する超高層ビル群である。
ひときわ高くそびえるこのエリアの周辺を取り囲むように、小さな公園が計画的に設置されているようだ。
その緑を少し覗いてみると…なんとウサギが走り回っていた。
金融都市にあって、人々の憩いも決して忘れられてはいないのだ。


ビル群の足元に到着。見上げてみると、まさに摩天楼といった感じだ。
ただフランクフルトでは高層ビルが立ち並ぶものの、メガロポリス東京のようにビルが乱立しているというほどではないので、
どこか1つ1つのビルが主張しあっているかのように見える。
高層ビルばかりだと落ち着かないから、このぐらいがちょうどいいのかもしれない。


ビル群からレーマー広場へ向かう。
途中、なにやら曰くありげなオブジェが立っていた。
なんか貴重そうなのでデジカメでパチリ。
帰ってから気が付いたが、これはユーロのマークで、かの有名な欧州中央銀行を象徴するものであったようだ。
これぞフランクフルト。


途中、喧騒のない石畳の床を歩いていると、路面電車が通り過ぎる。
なるほど、住民の足の1つだな。
人通りはほとんどないものの、ちらほらと数人程度、朝早い人はいるようである。
  

レーマー広場にたどり着いた。
ここは中世の都市国家フランクフルトの中心で、旧市庁舎だったレーマー、ニコライ教会、
15世紀の都市貴族の家屋などに囲まれている場所であり、観光名所の1つなのだそうだ。
たしかサッカーのドイツ代表が遠征を終えると、レーマー広場に立ち寄ると聞いたことがある。
  

…が、いかんせん早朝だったためか、人もいなければ遠くに見える店も開いていないようで、
どうも果たしてここが観光名所なのか?と疑いたくなってきた。
とはいえ別にここは通り過ぎるだけのつもりだったので、像など気になる物に向けて
適当にシャッターを下ろし、しばらくその場に佇んだだけで、この場を後にすることにした。
  

歩くこと数分、ようやくマイン川が見えてきた。
やや大きな川なので、長い橋を歩いて渡ることになる。橋を渡りながら下を見てみる。
うーむ、川が汚い。というか濁っていて透明度が全くない。
まぁこの川は海まで流れているし、上流からフランクフルトまではそこそこ距離があるから、
この川が汚れているのはドイツのせいではあるまい、と勝手に解釈することにした。


川の上など、周りに遮るものがない場所というのは、風が吹くと冷たいものである。
せっかく早起きしたのに、身体が冷えては体力が奪われるので、足早に川を渡る。
予想では橋を渡ったあたりから朝市の賑わいが見えるはずなのだが…。


ない!

橋を渡りきり、川辺の道を歩いてみるのだが…。
朝市どころか、人の気配すらしないではないか!
うーむ、日本で調べた情報によれば、本来なら今日は朝市を行う日のはずだが、ひょっとして中止になったということだろうか?!
せめて私がもっとドイツ語に堪能なら、もっと事前の情報を集められたかもしれないが、
こればかりは運がなかったと言わざるを得ない。(そういうことにしておく)


しかしわざわざ朝早く起きて、健康的に散歩までしたというのに、
こんな形で肩透かしを食らうというのもまた予想外なことであった。
だが別に今回は誰に迷惑をかけたわけでも、見られたわけでもないので、
こんな事に一々凹む必要はないか、と我ながら前向きに考えられたのは、きっとフランクフルトの朝日が綺麗であったからだろう。
  

私が一頻り散歩して橋を渡りなおした時、東の空が急に光り輝き始めた。日の出である。
普段、早起きなどせず、また日の出など見る機会も乏しい私であったが、
このときの日の出は異国ながらどこか静かな感動を覚えるものであった。
  

太陽の出入りに一々敏感なのは日本人くらいだ、なんて事を聞いたことがあるが、
そうだとしても、美しい光景を見て感動を覚えるのに、民族性は関係ないだろう。
川のはるか向こうから陽の光が立ち上り、フランクフルトのシンボル、
金融の摩天楼を鮮やかに照らし、この都市は一日の始まりを告げるのだから。


ホテルへと戻った私は、フロントで部屋番号を告げることなくキーを受け取った。
先ほどと同じ黒人のスタッフが黙って差し出してくれたためであり、早朝であるためか、フロントへの人の出入りの少なさを感じていた。

部屋に戻って軽く身支度し、朝食を取ることにする。
前日に初老の主人が教えてくれた通り、フロントの奥にある部屋が朝食部屋のようで、中に入ると人が全くいなかったが、
どのテーブルにもナイフとフォークが用意されており、決して広くないそのフロアは、ほぼ私の貸切状態であった。


ビュッフェ形式なので好きなものを取り、席に着く。
ポテトがなかったのは残念であったが、サラダやチーズ、パン、ソーセージなどは一通り揃えてあった。


まずは一通り食べてみる。うむ、そこそこいける。
安宿で品数は決して多くないながら、特に不味いというわけでもなく、問題なく食べられるのだから十分だ。


おかわりをしようと皿にソーセージを盛り付けていると、後ろから人の気配がした。
その人は私の横を通り過ぎるように奥へ入っていったが、途中、私と目が合った。
30代くらいの女性のようだ、どうやらここのホテルのスタッフのようである。

私がその言葉を人に向けて言うのは初めてであったのだが、
これも何度もイメージしていたその単語を、向こうより先に言うことができた。
「Morgen(モルゲン!)」

こちらの笑顔に、すぐさま向こうも返してくれた。
「Morgen」
挨拶が重要なのは世界どこでも一緒だ。

※きちんと言う場合は「Guten Morgen」だが、朝の挨拶は少し気安く「Morgen」とだけ言うのがスマートらしい。
 ちなみに言語によっては出会いの挨拶の単語が存在しないこともあるが、
 その場合はお互いの調子を尋ねあうなどのコミュニケーションを行うらしい。
 モルディブの公用語であるディベヒ語などがそれにあたる。

朝食を食べて荷物も整理し、いよいよ次の目的地へ出発。
鍵をフロントに持って行くと、朝にいた黒人のスタッフと、昨日の初老の主人とが談笑しているようだった。

私は鍵を渡しながら「Auschecken.bitte!」と言うと、2人は鍵を受け取り、笑いながら見送ってくれた。

「Danke schön」
「Vielen Dank」
「Auf Wiedersehen」
私は知っている限りの別れの挨拶を述べながら、ホテルを後にするのだった。
  

フランクフルト中央駅に戻った私は、まず電光掲示板をチェックした。
うーむ、ドイツ語だらけだが、なんとなく分かるような分からないような…。
まあじっと見ていても詳細までは分からないので、次の目的地、シュトゥットガルトまでの路線案内を尋ねる事にした。
  

ドイツ鉄道で最も重要な路線を擁するドイチュバーン(通称DB)は、フランクフルトなどの主要駅に案内センターが設置されており、
そこで目的地を告げれば、何番ホームにある何時出発予定のどの列車に乗り、
何時に目的地につくか? 乗換えがあるならばその情報も含めて、プリントアウトしてくれるのである。

案内所はどこかと探し回っている途中、私は日本人と思われる旅行者と遭遇した。
DBセンターに入ったところで、30代くらいの夫婦が、なにやら案内板やらを見比べているようだ。
私は「どうかしましたか?」と尋ねてみた、2人はこちらを見るのだが、どうも表情がない。
「この駅に到着する時間が知りたいんです」
「案内所に聞けば教えてもらえますよ?」私がそういうと、
女性は苦笑いしながら「あ、そう、ありがとう」というような感じであった。

このとき、私の中では、日本の外でせっかく日本人と会えたのだから、
もう少しフレンドリーな会話ができればよかったな、と思っていたが、
向こうはそうではなかったようだ。以前にもこういうことがあった気がする。

おそらくだが、大阪生まれ大阪育ちの私にとっては、人と話すときはフレンドリーに楽しく話す、
というのが当たり前の習慣になっているのだが、どうやら向こうはそうではないのだろう。
人口比率でいえば関東の方が高いのだから、おそらくあの人も関東地方、
言い方は悪いが東京の人に対する冷ややかな空気に慣れきってしまった日本人であり、
到底大阪人のフレンドリーさについていけないような感覚なのであろう。
別に相手にも同じようなフレンドリーさを求めるつもりはないが、終始無表情な人と話すのは少し気が滅入る。
(大阪でなくとも、見ず知らずの人にも親しく話す日本の地域は多い。九州、東北、中国、四国、沖縄…。)

まさかドイツに来て日本人を見て、その日本人の分析をすることになるとは全く思ってもみなかったが、
実際にせっかく異国の地で会った日本人に話してみて、どうもあまりいい気分ではなかったのは確かである。
私も東京人の人に対する冷たさには嫌気が差している部分があるので、
今後はこのような思いをしないよう、旅先で日本人を見かけてもむやみに話さない事にした。

(まぁ東京は人が多すぎるので、否応なしに他人に対する関心が薄れていくなど、
首都圏には首都圏の事情があるのは分かるのだが、日本の外に出てきてまでその調子では、
せっかくの旅行を本当に心の底から楽しめているのだろうか?
などと余計なおせっかい心が生まれたりするのである。
ドイツ人は親切な人が多いのだし、ここは日本ではない。郷に入っては郷に従うのも一興ではないか、
と大阪人がひとりごちる。)

2度目の日本人との遭遇はそのすぐ後の話で、女子学生と思われる3人組であった。
どうやら目的地があり、そこまでどうやって電車で行けばよいのかを尋ねたいようであった。
今回も話しかけようか、と少し思ったが、1度目の件があったことと、別にドイツ語も英語も堪能でない私が話しかけたところで、
彼女等の助けにはなれないであろうと思い、やめておくことにした。
若い女の子3人に、若くない男1人が声を掛けるという構図も、何かいらぬ誤解を与える気がしてならなかったのも事実だ…。

とそんなことがありながらも、ようやく私の求める案内が受けられそうなセンターが見つかった。
建物内ではなく、駅のホーム側にある「DB」マークつきのセンターである。
私は片言のドイツ語で言った。
「シュトゥットガルト、bitte」

何で行く?と聞いてきたので、私は
「アー、イ…(中略)…、イー、ツェー、エー」
少し戸惑ったが、なんとかドイツ語っぽく発音できたようだ。

切符は何を持っている?と尋ねられたので、私が懐に携帯していた「ジャーマンレールパス」を見せる。

「OK」
係員はシュトゥットガルトまでの路線案内をプリントアウトし、私に渡してくれた。
次は英語で聞いてみようかな…。
ホームを歩きながら、そんなことを考えた。
  


▲ このページの一番上に移動 | ▲ 目次に移動

2日目 ICEでシュトゥットガルトへ

ドイツが誇る新幹線「ICE」。
ドイツの鉄道で最もスピードが早い列車の1つで、いわゆる長距離用の新幹線である。


ドキドキしながら乗り込んでいく私。
まずは座席探しだが、指定席ではないのでどこに座ってもよいのだが、いかんせん人目が気になる。
きっとここは座っても良い場所のはずなのだが、何か人にジロジロ見られている気がして、
ひょっとしてここに座るのはまずいのかな?なんて思ってしまうのである。


おそらくドイツにおいて私は今、あからさまに「ガイジン」とみなされているのであろう。
日本であっても大和民族が大半を占めているため、海を渡って来た異民族の「ガイジン」がいれば否応なしに目立つ。
別に外人が日本にいたところで今時珍しくもないし、特に意識していなくても「あ、ガイジンだ」と、悪気はないのだが、
どこか目線がそちらにチラチラといってしまう事があると思う。
ひょっとしてそれと似たような扱いを、今ドイツの地で私は受けているのではなかろうか?

こちらをじろじろ見てくる人は少数派ではあるのだが、しかし「じっくり」と見てくるタイプの人もおり、どうも居心地が悪い。
2両ほど移動したところで、ようやく人気の少ない座席を確保することができた。


シートに座ってみる。シートベルトもあるし、前の座席から机が取り出せるようにもなっている。
まるで飛行機のシートのようだ。
日本でも西日本の新幹線は快適な方ではあるが、東日本はそれほどではないらしい。(本当かどうかは知らないが…)
なるほど事前に聞き及ぶ通り、ドイチュバーンが誇る新幹線は快適なようである。


しばらくのんびりとシートに座っていると、シュトゥットガルトに到着。
大型のトランクを持った人たちが次々と降りていく。
なるほど、さすが新幹線なだけあって、旅行や里帰りで利用する客が大半なのだろう。
レディーファーストを意識しつつ、いよいよ私もこの地に降り立った。

シュトゥットガルトは南ドイツ第二の都市ともよばれ、かの有名な自動車メーカー、ベンツのお膝元である。
この都市はベンツを誇りにしているようで、シュトゥットガルト中央駅の外にも誇らしげにベンツのロゴが設置されている。


早速、列車を降り、ホームを歩いてみる。
なるほど、主要駅だけあってここも停車台数が多そうだ。
しかしやはりフランクフルトほどの規模はなく、周りに木々が多いことや、
駅の構成がちょっと雑多になっている分、多少の田舎っぽさはあった。


駅を出て、メイン通りとされる「ケーニヒ通り」を目指す。
ここは歩行者天国になっていて、中規模なデパートなどが数多く立ち並ぶ、
いわゆる駅前のメインストリートといったところだろう。


駅から地下を通り、地上に上がると、正面に続く広々とした通りが見えた。
ここがケーニヒ通りか。人通りもそこそこ多いが、十分な広さを持つ大通りであるため、
余裕を持って歩くことができる。見通しもよいし、ここはなかなか歩きやすい。


左右に店が並ぶ中、大通りの所々に休憩ができる椅子があったり、路上ではおひねりを貰おうと楽器を演奏している人もいた。


ストリートをまっすぐに歩くと、左手に緑が見えてきた。
噴水やオブジェがある、紛れもない公園だ。
私はベンチに腰掛けてみた。公園にいる市民は皆、憩いのひと時を過ごしているようで、
こういうシーンを見るとこの町、ひいてはドイツ人の心の余裕を感じられるかのようだ。
  

メインストリートから横にそれる道を歩いてみる、繁華街ほどではないが、それでも人通りは途絶えることがなく、
ショッピング店やビアガーデンなどの施設がいくつも立ち並んでいた。

私はガイドブックを参考に、マルクトハレという屋内マーケットに入った。
入り口が少し分かりにくかったが、それっぽい建物のドアを開く。
紛れもないここは市場で、中央の吹き抜けのフロアに店が所狭しと並ぶ。
さらには外側は2Fに上がることができ、ショップ同士が繋がっている構成だ。


吹き抜けの市場を見てみる。まず目に入った店の商品をじっくり眺めていると、
店員から声をかけられた。こちらは、見ているだけだからおかまいなく、
というジェスチャーを見せると、向こうもこちらにはかまわなくなったようだ。
しかしながら、どうもドイツ人相手に今の対応は失礼だったろうか、などと少し罪悪感を感じてしまった。
自己主張の国にあっては、何もしゃべらず黙って無視するというのは感じの悪い行為であろう。
だがドイツ語も満足に話せるわけでもなく、しかもじっくり店を観察している中で
不意に声をかけられたものだから、ついこのような行為をしてしまったのだ。

思わずそそくさと次の店に足を運ぶ。
ううむ、1つの店でずっと立ち止まらないほうがよさそうだ。
私はしばし大阪人であることを忘れ、少しゆっくりと歩きながら店を見ることにする。

※大阪人は世界で一番、早足で歩くと言われている。(これは俗説で、シンガポール人が1番早いらしいが)
 足を動かす速度はそうかもしれないが、ドイツ人の方が足が長くて歩幅が広いので、
 移動スピード自体は大差がなかったりするのだが…。

買う気はあまりなくても、日本だろうが海外だろうが、
こうやって商品が所狭しと並んでいる店を見て回るのは、なかなか楽しいものである。
コーヒーを売っているところもあれば、精肉や野菜を売る店もある。
この吹き抜けフロアは食材がメインなようだ。
よく見ると、日本語で「わさび」と書かれた箱が置いてあった。
なるべく立ち止まらないよう短時間でそれを観察する。
うむ、パッケージも裏の説明書きもすべて日本語。
間違いなくこれは日本から持ってきたものだろう、輸入しているだけあって割高だ。

一通り1Fを見て回った私は階段を上がって2Fへ。
吹き抜けになっているので、2回に上がると下の様子がよくわかる。
店がひしめき合っているためか、それほど広い印象はないが、人はそこそこ集まっているので、活気のある市場だといえるだろう。

階段を上がると、すぐそこは喫茶店のようであった。
このフロアは吹き抜けのエリアを囲むように店が並んでいるようだ。
喫茶店の奥の通路から順番にこのフロアを見て回ることにする。

なるほど、カフェは通路と店の区別ができる設置だが、それ以外は通路というものがなく、それぞれの店の中央が通路になっている。
つまり通路を歩き回って店を見て行くというのではなく、店から店へ歩き回る感じだ。そもそも通路と店が合体している。

この2Fはどうやらインテリアのようだ。
ベッドなどの家具をはじめ、家を飾り立てるための商品が並べてある。
聞くところによるとドイツ人は家を飾る習慣があり、それをとても大事にしているため、家用の装飾品を扱う店が必ずあるという。
1Fは食材、2Fはインテリア。観光客には特に買えそうなものはないかもしれないが、
この辺りに住むドイツ人にとっては便利な施設といえるだろう。


マルクトハレの出口から外へ。少し雨が降ってきたか。
歩くには傘は邪魔になりそうだったので、私は小雨の中、濡れるのを覚悟でそのまま進むことにする。

途中、教会のようなものがあり、写真を撮っている人をみかけた。
なるほど、まぁここは写真を撮らなくてもいいだろう。
少し歩くと小さな噴水があって、ここでも写真を撮る人が…。
うーむ、じゃあこれは撮っておくとしよう。


ガイドブックによると、この町でも蚤の市があるということらしい。
マルクトハレには行ったから、次はそれを探すのがもう1つの目標である。
(今日の朝はハズレだったから、なおさらだ)


歩いていると、どうやら路上の広場に店がならんでいて、人が行きかっているエリアが見えた。
私も人の流れに従ってそちらに進んでみる。ここが例の蚤の市のようだ。
どうやら全て花を扱う店らしい。
ヒマワリやパンジーと見られる、日本でも馴染みのある植物も多くある。
もちろんこの国ならではの植物も置いてあるようだ。
今、花を買っても処理に困るので、ここでは見て歩いて写真を収めるだけにした。
  

雨もひとまず落ち着いたようなので、とりあえず繁華街に戻ることに。
駅に向かう道の途中、大型の本屋の中へ入った。
私は日本では、よくヒマな時は本屋に入って立ち読みなどをしていたことがあるので、
ドイツの本屋がどういうものか、興味が沸いたのである。

ふむ、そこそこ規模が大きいだけあって、一通りの種類の本は置いてあるようだ。
実用書、小説、参考書、雑誌、子供向け書籍…。
棚の表記は全てドイツ語だが、英語と似ている単語もあるので、だいたい想像はつく。


しかし本屋だというのに、邪魔にならない程度ながらきちんと装飾がされている。
日本ではよほどのデパートなら別にしても、ただの本屋で店を飾りつけるところなど少ないだろう。
だが客の多くは静かに本を探している事がほとんどなので、装飾の必要はないといえばそれまでではあるが、
この店は装飾と証明が落ち着いた感じの雰囲気を醸し出し、店を包んでいるようにも感じる。
これがドイツの気品なのだろうか…。

私が本屋に立ち寄った理由。それは日本の本を探すことである。
まずは語学の本棚を探す。よく見ると英語だけ「英語」と「ビジネス英語」の2種類がある。
逆に言えばこれだけ品揃えがあるということは、ドイツ人はそれだけ英語を話す人が多いのだろうとも思える。

ドイツの学校教育でも、もちろん英語を学ぶだろう。
勤勉なドイツ人であれば学校の勉強だけで英語をある程度話せてしまう生徒もでてくるだろう。
だがしかしそもそも、語学というのは使わなければ忘れていくもので、
やはりドイツ人の中にも英語が堪能な人、やや苦手な人というのはいるはずだ。
ドイツ人同士であれば、コミュニケーションは基本的にドイツ語のみになるわけだし。

大きなポイントは、日常生活でどれだけ英語を使うか、ということではないか。
例えばDB(大手ドイツ鉄道会社)に勤める人は英語を話せる人がほとんどだし、
レンタサイクル(レンタル自転車システムというのがドイツ主要駅に設置されている)のスタッフや、
観光案内所の人は、やはり英語を話すらしい。
島国の日本とは違い、他国と陸続きのドイツは国外から流れてくる人の数は日本の比ではないだろうし、
ドイツでもやはり、外国人には英語で話しかけるという習慣があるようだ。
(実際、ドイツを旅行してそれは思った)

日常的に接客を行う人、かつ不特定多数の人と接しやすい環境であればあるほど、
英語の使用頻度も高まり、そういう人ほど英語に慣れているというのは、当然のことだ。

逆に言えば、そういう環境にいない人は、やはり英語を忘れがちになってしまうのだろう。
しかし、ドイツ人にとっても(使う頻度はそれぞれながら)、英語は重要な言語であるという認識はあるのだと思う。
この2種類の英語本の棚が、まさにその表れではないだろうか。

さすがドイツ。勝手にこの国に感銘を受けつつ、本題へと戻る。
…あった、少ないながら日本語の本もちゃんと置いてある。
ちょっと手に取ってみるが、ドイツ語で日本語のひらがなの解説や、基本的な文章などが紹介されてあった。
普通だ。どこか面白みがあるかなと思ったけど、そんなものはない。
まあ当然といえば当然か。
だが日本語の本を置いてあることにちょっと安心感を覚えた。

続いて旅行書。アジアの棚を探す、うむ、ちゃんと日本がある。
さてどれを買って帰ろうかと一通りみるのだが、ドイツの本はイラストが少なく、ほとんどが文字ばかりである。
当然ドイツ語で書かれているため、文章を追いかける気力などなく、専らイラストを目で追っていくのだが…。

うーむ、なんだかこの写真、日本というより韓国だな。
日本人っぽい人が映ってはいるのだが、見方によっては韓国人や中国人に見えなくもない。

まぁ極東の国にわざわざ旅行する人というのは、
この国に住む旅行好きの人の中でも、さらに物好きな部類に入るのだろう。
決して日本がメジャーな旅行先というわけでもあるまい。
そもそもメジャーならもっと日本のガイドブックが数多くあるはずだろうし。

そんなことを思いながらページをめくる。
広島、青森、東京…うーむ、流石に47都道府県を全てカバーしているわけではなさそうだが、
日本ではあまり見かけない地名もいくつか載っているようだ、イラストがないからわけがわからない。
さらにページをめくり、私が気にしていた項目を探していく…。
あった、我が故郷大阪。イラストを目で追う。

なんだこれは。

そこにあった写真は、パチンコ店で、台に向き合ってパチンコに興じる人々であった。
しかもピンボケ。写っている人も、これまた韓国人ぽい気が…。
さらに大阪の紹介は数ページのみであり、特別ページ数が多いわけではない。
なんか溜息が出た。

まぁそもそも日本に来るのだから、いくつかある都市の中で、わざわざ大阪をチョイスする人は少数派なのだろう。
やはり京都や東京がメジャーだろうし、外人からすれば、大阪は西日本の大都市なんてイメージはなく、
主要観光都市以外の候補都市の1つにしか成り得まい。

そんなどこか自虐的な、しかし冷静な分析を行っているうちに、なんだか日本の本を買う気が失せてきてしまった。

ただでさえイラストが少なくドイツ語ばかりな上、外人に見てもらいたい日本の風情に関する記事が、
この本に掲載されているとは、とても思えなかったのである。
しかも我が故郷大阪は、イラストを見る限り品のない博打都市とでも紹介されていそうな雰囲気である。
私はちょっと期待していた自分が、どこか愚かに思えてしまった。

気分治しに、他の棚も見てみる。3Fには音楽CDも売られているようだ。
本屋ではあるが、本以外の雑貨もちょくちょく置いてある。
3Fの奥をのぞいてみると、どうやら御香コーナーのような一角があった。

近づいて確認してみた、確かに御香だ、ドイツにもあるのか。
よく見てみると、どこかで見覚えのあるものだ…。
む、これはひょっとして日本で売られているものではないか?!

1つ1つ確かめて見る、間違いない。全てがそうなのかはわからないが、日本の京都などでも見られる御香と遜色ないものがある。
なるほど、観光国としてのイメージはそれほど良くはなさそうだが、日本が生み出した癒しの香りにはドイツ人も弱かったか。
先ほどの本に描かれた日本のイメージにショックを受けていた私は、なぜかちょっとほくそ笑んだ。
どうしてなのかは私にも分からない。なんじゃそら。

エスカレーターを降りて、1Fの奥にある雑誌コーナーへ。
サッカー雑誌を探してみる。さすがサッカー強豪国で大人気だけあって、容易に見つかった。
ふむ、これがドイツで有名なサッカー雑誌「キッカー」か。手にとって中を見てみた。

ちょうどこの時期はオフシーズンにあたり、前回のブンデスリーガでは、
我等が長谷部が所属するヴォルフスブルグの優勝で幕を閉じている。
この号ではどうやら総集編の特集が組まれているようで、
リーグに所属するチームのロゴと、選手の顔写真入りで解説が書かれてあった。

まず最初にヴォルフスブルグである。うむ、ちゃんと長谷部もいる。
今回の旅行では距離的にヴォルフスブルグへは行けなかったため、
ちょっと残念な気持ちではあったが、これを見られただけ良しとしよう。

ペラペラとページをめくる。フランクフルトには稲本が写っていた。
高原はこのときは移籍してもういなかったが、それでもちゃんと2人目の日本人を見つけることができた。

そしてもう1人の日本人選手を探していく。
ボーフムと書かれたページにその選手はいた、小野だ。
だがしかし、なぜか集合写真ではなく、隅っこに1人だけの小野の顔写真が。

欠席したんかい!

私は卒業写真の撮影時に必ずどこかのクラスで起こる、たまたまその日休んでしまったから、
個別に写真を撮られてあとで貼り付けられるという、ある意味見せしめのような運命を辿ってしまった
同級生に贈るものと同じ同情の念を、小野選手に向けた。
普通にちょっとおもしろかった。なんで枠外やねんw

本屋を堪能し、外へ出た私は、サッカーグッズの専門店でもないかと他の店も見て回るのだが
見当たらない、とりあえずスポーツ関係のグッズが置いてそうな店に入ってみる。
シュトゥットガルトはブンデスリーガの中でもそこそこ強豪チームであるから、
サッカーグッズがこの町で売られていないはずがない…。のだが、
サッカーコーナーはあるものの、他のスポーツ用品と品揃えはそれほど大差ないようだ。

ふーむ、どうやら大通りには専門ショップはないのだろうか。
私が好きな選手の1人である、スイス代表のリュドヴィク・マニャンのユニフォームでも見たかったのだが…。
仕方がない、今回はあきらめるとしよう。

さてとりあえず、もう少し見て、この町はこのへんにしておこうか。
そう思い外へ出てうろうろしていたのはよいが、突然、かなりの大降りに遭遇してしまった。
ドイツに来てからの雨は粒が小さいため、多少の小ぶりであれば傘がなくとも平気だが、
これは大降りである。粒が小さくとも量が多い。これはたまらない。
私は地下に続く通路に少し入り込み、雨宿りすることにした。

待つこと十分ほど。ようやく雨が落ち着いてきたが、まだ完全には止まない。
このまま時間を潰すのも勿体ないので、多少の雨を覚悟でとりあえず中央駅に戻ってみようか。


▲ このページの一番上に移動 | ▲ 目次に移動

2日目 シュトゥットガルト〜ミュンヘンへ

駅に戻る途中、パン屋に立ち寄り、腹ごしらえをすることにした。
他の客に混じり、トレイを手にとってパンを覗き込む。
ドイツでの主食はパンであるためか、そこそこの大きさのパンであっても驚くほど安かった。
成人の手と同じサイズくらいのパンが、なんと1EURO以下なのである。これは安い。
しかも日本人である私の胃袋には、このサイズは大きい。

とりあえずパンを2つ買うことにした。
パンの上にチーズとウインナーがかっちり固まったパンと、ゴマがまぶされたリング型のパン。
この店では食べられるスペースがないから、持ち帰りオンリーだろう。
私は特に考えることもなく、トレイをレジに持って行き清算を済ませ、
近くにあった机にトレイをのせ、側にあった袋を手に取ってパンを入れ、
空いたトレイを下に移動し、既に置いてあったトレイの上に重ねた。
意識はしていなかったが、周りの人を見て参考にするでもなく、特に考えるでもなく、ごく自然とその流れができたようだ。
どうだ、昨日のマクドの俺じゃないぜw

パンを買った私は駅に戻り、次の目的地、ミュンヘンへの路線案内を探す。
数人のDBのスタッフが、何やらどこかのマスコットが被っていそうな帽子を見につけて立っていた。
側には小さな机がある程度で、センターというより出張所という感じだ。
手前にいるこの若い人に聞いてみよう。

「I want to go to München」今度は英語で言えた。
「切符はあるかい?」そう聞かれたので、 懐に身につけているカバーから、ジャーマンレイルパスを取り出す。

しかしどうも彼にとっては、これが何であるのかわからないようで、
向こうで聞いてくれ、といいながら指で奥を指し示された。

向こう、というのはどっちのことなのかよくわからなかったので、
最初に聞いた人から少しだけ離れた中年の男性スタッフに聞いてみた。
この人もやはり、ジャーマンレイルパスが分からないようだ。
さっきの人と同じように、指を指してあそこで聞け、といわれた。
なるほど、最初の人が示していたのはこの人のことではなかったというわけか。
ちょっと格好悪いな俺w

示された方向へ進むと、ちゃんとした案内所になっている建物が。
少し人が並んでいるので順番待ち。
前が空いたので受付の窓口へ進もうとすると、中年の女性にいきなり後ろから声を掛けられた。

「〜〜〜〜!」
早口でまくし立てられたので、何を言っているのかが分からない。
しかも英語ではなくドイツ語のようである。早口でなくても分からんワイ。
私はとっさに「hm?」と返した、するとやはり同じようなことを早口で言っているようだが、
先ほどと同じく切羽詰っているような表情で、何を話しているのかは変わらない。

ドイツ人は基本的に、用事もないのに見ず知らずの人に話しかけてくる事はない。
それはこれまでのドイツ滞在で把握しているつもりだ。
(南ドイツでは陽気に話をする人もいるようだが、それも昔の話かもしれない)
わざわざ用もないのに、こちら側を困らせるために話してくるとも考えられない。
(後で考えてみれば、フランスはともかくドイツでドッキリ企画がそんなにあるとも思えない。)

私は彼女の2度目の訴えを聞いた後、すぐに自分が何をするべきかを悟った。
その間1秒ちょい。これだけスムーズに対応できたことは、我ながら少しびっくりした。

どうやら彼女は、急いでいるので、順番を先に譲って欲しいと願い出たのだ。
外人に対して英語で話してくれるドイツ人ではあるが、急ぎで切羽詰っているときに、わざわざそんな配慮をする余裕もないだろう。
相手にドイツ語が分かろうが分からなかろうが、普段使っている言葉が自然と口に出たことは、
こちらが何ら気に留めることでもあるまい。

さらに、言葉が分からなくても、仕草を見ただけで急いでいるのは明白だ。
表情を見てもとても余裕などなく、切羽詰っている状況がありありと見て取れる。
ここで必要なのはむしろ語学力ではなく、言ってみれば空気を読む力ではなかろうか?
日本でしか役に立たなさそうなこの能力が、まさかここで本領を発揮しようとは思ってもみなかった。
(後で考えれば、言葉が不安な状態で外国へ行った場合、頼るべきは状況判断力に他ならないのは確かである)

とまぁ、自分自身に3度ほど心の中で拍手した後、改めて私の番になった。
ジャーマンレイルパスを見せて、行き先を告げた。今度は大丈夫なようだ。

プリントアウトされたものを受け取り、ホームへ移動する。
…しかしよく見てみると、この出発時間、もうすぐじゃないか。
私は急いでホームにある電光掲示板へ。
焦っていても電車だけでは載り間違えるわけにはいかない。
しっかりと確認して私は走った、頼む、間に合ってくれ。
だが無常にも、私の目の前で電車は行ってしまうのであった。


…なんてことだ。
ドイツでは電車のアナウンスはそれほど多いわけではなく、電車の到着や出発をいちいち知らせてくれるものではない。
スッと電車が到着し、スッと電車が去るのである。

慌てず次のミュンヘン行きのICEの時間を調べる。
ベンチの近くにある時刻表をチェックすると…どうやら1時間後だ。
ドイツに来る前に時刻表の見方も何度も練習していたので、ほぼ間違いないだろう。


しかしまさか、目の前で電車が出発して、しかもあと1時間も待つことになるとは予想外だった。
そもそも1時間に1本の電車なのだから待ち時間が出るのは仕方がないのだが、
よりによって最も待ち時間の長いタイミングに遭遇してしまった。運がない…。

さて残り時間をどう過ごそうかと考えてみたが、ドイツの電車は概ね時間通りながら、
電車が遅れて到着することは日常茶飯事らしい。
また乗り過ごしでもしたら今日の予定に差支えが出そうなので、おとなしくホームのベンチで待つことにした。

雨はどうやらまだ完全には止んでいない。
しかもちょっと風が吹いていて寒いし、あんまりうろうろすると体力を奪うだけだし、今日はよく歩いた方だ、少し休むことも大切だろう。

そう自分に言い聞かせ、先ほど買ったパンの入った紙袋を覗き込む。
時間は13:24。やや遅めの昼食をとることにした。

ドイツのパンの種類は世界一などとも聞くが、確かにいろんな種類があるような気がする。
似たようなパンはいくつもあるだろうが、これまでに見たパンはどれ1つとして同じような形のものがなかった。
今日パンを買った店にしても、きっと手作りのものであろうから、
店によって、場所によって多彩なパンがあるであろうことは、想像に難くない。

紙袋を少しやぶいて、パンの写真をパチリ。


しまった、ちょっとやぶりすぎて、パンがこぼれそうだ…。
バラバラとこぼれるゴマのパンを優先的に口へ運ぶ。…んー、特別おいしくはない。
ゴマの処理に四苦八苦しながら、まずパンを1つ平らげる。
日本人1人で食べるには大きな1個だと感じた。2個だけにして正解だったか。

さらにもう1つ、ソーセージとチーズのパンをいただく。
こちらは味はまぁまぁか。
美味いというわけではないが、1EUROもしなかったことを考えれば、十分な味だと思う。

パンの入っていた紙袋を丸め、近くにあったゴミ箱へ。
さすがエコ大国ドイツ。ゴミ箱が分別用に3つほど固まって置いてある。
イラスト付きなのだが、何の絵なのかすぐには分からなかった。
そもそもパンの紙袋なので、どれに該当するのかの判断に時間を要してしまった。
…まぁ燃えるゴミだから、消去法でいけば問題ないだろう。
ペットボトルでも、空き缶でもない。もう1つのところに捨てよう。

腹ごしらえを済ませ、ふと横を見る。ドイツにもホームに鳩が歩いていたりするんだな。
この鳩も日本のものと大差ないように見える。
目線を正面に戻し、1時間ほどぼーっと電車を待ちながら、思いを巡らせる。

シュトゥットガルトか──。
この町はドイツでもかなり住みよい町であるらしく、治安も良いと聞くが、
ここの繁華街を歩いてみると、なるほど、確かにここは居心地が良さそうだ。
道は広く、店も多く、緑も多い。道行く人もどこか余裕のありそうな表情だ。

サッカー好きな私にとって、今回はオフシーズンということで現地観戦は叶わなかったが、焦ることはない。
これから先、いつかまたヨーロッパに来れば済むことだ。

しかし現地観戦は叶わなくとも、ドイツはサッカーの集客力の高さは欧州でも有数である。
もちろんブンデスリーガも代表チームも強豪揃いだ。
そんなサッカー大国の地にせっかく来たのだから、何かしらの形でこの国のサッカー熱を感じてみたいと思ったのも事実である。

とりあえずシュトゥットガルトを軽く歩いてみたが、本屋に少しだけサッカーチームのロゴ入り小物が置かれてあっただけで、
これは! と思うものはなかった。
まぁきっとこの町のどこかには専門店があるんだろうし、今回は縁がなかっただけで、気にすることはあるまい。
次の目的地、ミュンヘンはいわずと知れたバイエルンミュンヘンのホームタウンであり、
しかもスタジアム観光にも行く予定なのだから、焦ることはない。

時計を見る、これほどの時間、同じ場所で待機しているという事など、私にはあまりないことではあるが、
しかしこれも異国の地に旅をしたからこそ、体験し得たことであるのは確かだろう。

結局予定時刻の15分遅れで到着した電車に乗り込み、私は目を閉じて、
ふぅと溜息をつきながら、次の目的地、ミュンヘンへの期待を高まらせていた。


▲ このページの一番上に移動 | ▲ 目次に移動

2日目 ミュンヘン到着

電車に乗ること数時間。
いよいよミュンヘンの町が見えてきた。

ミュンヘンは南ドイツ最大の都市であり、ベルリン、フランクフルトと並び、ドイツの主要な玄関口の1つである。
飛行機にしろ鉄道にしろ、ドイツから南に向かう上では重要な都市となる。
もしドイツからオーストリア、イタリアなどを目指すとなると、きっとこのミュンヘンを通ることになるだろう。
まぁ今回はドイツ一国だけに絞るつもりで来たのだが。

ミュンヘン中央駅に到着。だが外は雨が降っているようだ。
しかしさすがドイツ三大都市、中央駅の広さはフランクフルトに匹敵する。
フランクフルトほど治安が悪いわけではなさそうだし、比較的安全な南ドイツということで、少し安心感があった。

さて、まずは今日の宿に向かおう。
駅を出て、これも何度もイメージしたとおり、ホテルへのルートを再度確かめる。
駅の建物を出ると、またもや雨にさらされてしまった。しかも地面には大きな水溜りがいっぱいある。

できるだけ早く移動しようと、周りの人の真似をしながら信号を渡る。
どうも信号無視しているかもしれないのだが、この雨を避けたい一心で足を動かす。

ビー! ビー!

停車していた車3台から、思いっきりクラクションを鳴らされてしまった。
さっさと道路を渡り、軽く「すまん」というジェスチャーをしながら走り抜ける。
うーむ、こちらに余裕がないとはいえ、車の邪魔をしてしまったか、ドイツ人に悪いことをしたな。
1時間の電車待ち。初めての場所。強く打ちつける雨──
私もだんだん余裕がなくなっているようだった。

ホテルはすぐ見つかった。ludwig。ルードウィッヒ ホテルだ。
1泊目のホテルよりロビーは広そうだ。
見知らぬ建物に入り込むのに一抹の不安がまだ拭えないが、雨も降っていたのですぐに入ることにした。

ロビーに入るが、人がいない。呼び鈴がおいてあるので鳴らしてみた。
少しして、何やらあまり愛想のなさそうな中年の男性が出てきた。

あらかじめ手配しておいた予約用紙を見せる。
今回は何か書かなくてもよさそうだったが、不意にそのスタッフは私に質問してきた。
「〜〜〜?」

むぅ…聞き取れなかった。 私は1拍置いて
「Mein name ist 〜」と続けようとすると、
「No No!」とスタッフに制されてしまった。

「〜〜〜?!」
もう一度同じような発言を、少し短めに、しかし語気を強めてスタッフは言って来た。
一瞬また意味が分からなかったが、2秒ほどして、今度は把握できた。
スタッフは「One night?」と言ったのだ。

「One night? Yeah!」
私はなんとか平静を保ちつつ、スタッフに返した。
どうやらなんとかなったようであるが、次も何か分からないことを言われると、きちんと返せる自信がない。

がどうやら、他に何か聞かれることもなく、スタッフはキーを差し出してきた。
それを受け取りながら、私はドイツ語の質問メモをスタッフに見せた。
チェックアウトの時間と、朝食の場所と時間───。
無愛想なスタッフながら、必要なことを聞き出すのには成功した。
筆談はなかなか有効な手段だ。

エレベーターで2Fへ。人の気配がしない。
しかし誰もいない方がかえって探しやすいので、誰か来る前にさっさと部屋へ入ってしまおうと思っていた。
仕切りのトビラを開けて進む。私に割り当てられた部屋は、どうやらかなり奥の方らしい。

ようやくキーに書かれた部屋番号に到着した。
鍵を差し込んで回す。開かない。2回転しているはずなんだが…。
なんだかドアが中途半端に少しだけ開いているような気がする。
ひょっとして壊れたのか?! やや疲労気味な私は少し顔が青くなった。

だがこういう時こそ冷静になるべきだろう。私は気持ちを落ち着けて少し考えた。
押してもだめなら引いてもだめ、ならば横へスライド──でもない。
私は鍵を2回転したあと、同じ方向へ回せるだけ回してみた。

開いた!

してやられた、こういう構造か。
鍵が開いてもドアノブが動かないのだ。
鍵をさして回し、さらに手に持ったまま鍵ごとそのまま回さないと開かない。
なんちゅう安普請。安宿だから文句は言えないのだが。

とりあえず荷物を降ろし、靴を脱いでベッドに腰掛け、一息ついた。
雨に濡れることは想定していなかった。こりゃいかんな。
靴下を脱ぎ足を乾かしながら、今後の予定を考えることにした。

時間は18:40くらい。雨は降っているが、晩メシも食いにいく必要がある。
少し荷物を整理し、ベッドで軽く休んだ。

10分ほど休み、そろそろ出かけることにした。
またあの愛想の悪いスタッフの相手をしたくないし、そもそもロビーにスタッフがいないことが多いようだ。
わざわざ呼び出して話すのも億劫なので、部屋の鍵を自分のカバンに入れて出かける。

外はあいかわらず雨。だがホテルのすぐ近くに、地下への階段が見つかった。
降りてみると、やはり駅の地下とつながっているようだ、こりゃあいい。
地下を進んでいくと、駅に進むにつれ、少しずつ店が並んでいるのを発見した。
地下に店があるというのは、なぜだかホッとする。

地下を通り、中央駅へと戻ってきた。
地下から上ってきた時に、少し離れてはいるがすぐ目立つ位置にインビスがあった。
どうやらヴルストをメインで扱う店のようだ、夕食は是非これにしよう。

改めて少し散策してみる、広い。
駅の構成にもよるのか、同程度の規模と思われるフランクフルト中央駅よりも歩きやすい。
どことなく清潔で開放的で、かといって人も多すぎることはなく、居心地がよいのだ。

Sバーンに乗って2駅、Marienplatzで下車する。
ここのSバーンは地下鉄になっているようだ。
地上に出るとマリエン広場に出た、人通りが多い。
どうやらこのあたり一体は、地元の人と観光客とが入り混じっているようで、夕食時ということもあってか、かなりごった返していた。


雨はまだ止んでいなかった。歩行者の邪魔にならない場所に移動しなくては。
雨宿りできそうな場所で立ち止まり、上を見上げる。
Neues Rathausと呼ばれる新市庁舎が空を被わんばかりに視界をふさいだ。
この建物はミュンヘンの中心であり、建物もネオ・ゴシック形式の風格あるもので、
周りの観光客と思われる人たちは皆、建物をカメラに収めていた。
私もそれにつられ、カメラを構える。
この大きい建物の主要部分がなるべく入るように調整しつつ、シャッターを押した。


ミュンヘンにも三越があるということで、なんとか閉店時間までに入れないかと、私は地図を見ながら歩き回るのだが、
思いのほか入り組んでいる道に加え、建物も大きかったため、どうも方向の感覚がつかめない。
小雨が降る中、歩き続けるも時間切れになってしまった。

これ以上はあまりゆっくりと見て回れる時間はなく、夕食のこともある。
とりあえずミュンヘンの中心部は少しは確認できたので、また明日の朝にでも出直せばよいだろう。
少なくとも電車でここに来れることは分かったし。

ホテルに戻ろうと思った矢先、私は歩き出そうとした足を止めた。
この大きな広場でさえも、方向がどうもつかめない。
ドイツに来てから何となく感じていたのだが、うーむ、ひょっとして俺は方向音痴だったのか?

しかし雨も小降りとはいえ降っているし、じっとしていても先に進まない。
とりあえず、人の流れに乗っかり、少し歩いてみた。
人通りがこれだけ多いんだから、きっと何か人が集まる場所へと通じているんだろう。
私にしてはかなり安直な考えであったが、歩いているとSの文字の看板が見えてきた。
この看板はSバーンの乗り場はこちらにありますよ、という意味だ。
助かった、と思いながら私は駅に入り、電車で中央駅へと戻った。1駅だったけど…。

中央駅に戻った私は、また少し駅を散策してみた。
本屋に入ってみる。うーむ。小さめだが、どこにでもありそうな店だ。
品揃えも豊富とは言えないが、新聞や雑誌などはちゃんと置いてあった。
簡単に見て、すぐ店を出る。

腹も減ってきたので、私は駅構内の隅の方にあるコンビニのような店に入った。
隅とはいえホームに近く、しかも入り口がないので人が多い。
ゆっくりと歩きながら商品を見る。

とりあえず飲み物がいるな…。
私は少し大きめのVolvicのボトルを手に取った。
うーむ、しかし夕食用にもう1つドリンクがあってもいいか…。

少し悩んだ挙句、ふと目に入ってきたコカコーラzeroを手にとった。
ドイツにもコカコーラ、しかもzeroがあるのか。
まぁこれなら世界ブランドだし安心だろう。

レジに並ぶのだが、小さなレジであったため、人の流れが分かりにくい。
うーむ、並んでいる人数自体は少ないのだが、タイミングがつかめない。
とりあえず待っている人がいなくなるのを待ち、隙をみてレジの前に立とうとする。

まずい、ちょっと隣のおじさんとタイミングが重なってしまったか。
するとおじさん、先に行けという仕草。
ありがとうおやっさん!
そう心の中で感謝しながら、レジの前に立つ。

だがしかし、うーむ、レジにいる数人が全員、余所見をして談笑している。
こちらに向いていないため、私には気が付いていないようだ。
どうやら若者ばかりのようで、さっきまで人が多くて、今少し区切りがついたものだから、集中力が途切れてしまっている様子だ。
うーむ、せっかち日本人と思われたくないし、ここは少し待つべきか?
だが自己主張はしておいたほうがいいだろう。

Entschuldigung! (エントシュルディグン!)

私は小声ではあるが、果たしてこの状況で正しい言葉なのかどうか分からない声をかけた。
すると間髪入れず、私の後ろに立っていた先ほど譲ってくれたおやっさんも、何やら店員に声をかけてくれた。
まぁまだ人が多いし、レジがすぐに込み合ってきそうなこの空気であれば、だいたいどんな人であっても店員を急かすだろう。

相変わらず店員はラフな若者ではあったようだが、レジの会計は問題なく終えられた。
商品を取り、先ほど前を譲ってくれたおやっさんに軽く頭を下げつつ、ダンケと呟き店を出た。

さてお待ちかねのメインディッシュを買わねば。
私はヴルストを専門に扱うと見られるインビスに近づく。
あんまり前に行き過ぎると店員に急かされそうなので、眼鏡を掛け、少し遠巻きにメニューを見た。

ふむ…ヴルストであれば一通りのものはあるようだが、ここに掲載されているメニューで私が分かりそうなものはほとんどなかった。
とりあえず何が食べたいかは決めてあるので、なんとかなるだろう。

店のすぐ前に立つ。インビスの主人が意識をこちらに向けた。
Bratwurst bitte!
私は少し自信を持って注文を告げる。
Bratwurst?
Ja!
主人の聞き返しにも、少し不安はあったものの即座に答えた。

ここでお金を払うのに戸惑うのも格好がつかないので、私は十分と思われる金額をレジのトレイに乗せた。

主人を見てみる。まず握りこぶしほどの大きさのパンが軽くスライスされ、
その中に挟みこむように、うまそうなブラードヴルストが挟まれ、さらにマスタードを上にかけてくれた。
私はケチャップ派であったが、ドイツではマスタードのみをかけるのが主流だと聞いていたし、
せっかく本場で食べるのだから、ここでの食べ方で味わってみようと思ったのだ。

お釣りを受け取り、念願のヴルストを手に入れた私は、
一緒に渡してくれた紙ナフキンでヴルストを包み、袋に入れた。

ヴルストはそこそこの大きさではあったが、これだけでは物足りないかもしれない。
私はホテルへ戻ろうと地下道を通り、途中にある小さなコンビニのような店に入った。
人が少なめの店なので、あまり長々と商品を見るには落ち着かないのだが、
しかしちょうど良い商品が見つからず、結局少し長めに時間をとってしまった。

結局、正方形の板チョコレートを選ぶことになったのだが、商品を選ぶ間、ここの女性店員が話す耳慣れない単語に耳を傾けていた。
どうやらここの店員のセリフは少し気安い感じのようで、最初の単語は普通の店と同じく
Hello.  (ドイツにおける一般的な「いらっしゃいませ」)
なのだが、帰り際に
Tschuee.  (チュース。「またね」という意味)
と言っているのだ。
ふむ、個人経営らしいこういう店では、こう言われることもあるらしいな。
また1つ、勉強させてもらった。

行きと同じルートを逆戻り、地下を通ってホテルへ。
フロントではスタッフが客の相手をしているようだ、何食わぬ顔をしてエレベータへ…。
行こうとしたが、1階上に上がるだけなのにじっと待っているというのも非効率な気がするので、
側にあった階段を上って部屋まで戻った。

荷物を降ろし、身軽になって手を洗い、椅子に腰掛けてふぅ…と一息つく。
ひとまず目的のものはゲットしたし、今日は外に出る必要はないだろう。

ここに来て思ったが、ミュンヘンはドイツでは南の方なのに気温が低いようだ。
そういえばそう聞いたこともあるな、確かにここはフランクフルトより寒い。
今日は少し服を重ね着して寝ようか。

さて、と私は紙ナフキンに包まれたものを机の上に取り出した。
ワクワクしながら包みを開き、ソレをじっと見た。
ドイツに来たならば是非食べようと思っていたヴラートヴルストである。
(日本で言う焼きソーセージ)

なるほど、噂に違わぬ大きさだ。デカイ。
しかもヴルストを注文すると無料でついてくるパンも美味そうでありがたい。
切れ目をいれたパンの中にヴルストが挟まれ、マスタードがかかっているという、
ただそれだけの簡素な見た目なのであるが、これには十分な存在感があった。

手の上に乗せてみる。
私の手は日本人の平均よりも細身で大きい手なのだが、それは軽く握れる程度もあった。
平均的な人であれば、手の上にすっぽり収まるサイズであろう。


さっそく、一かぶりしてみた…。

む。

これは。

美味い!!


ヴルスト自体はジューシーというわけではなく、中身が濃いという印象である。
だが決してしつこくもなく、ヴルスト自体の旨みが確かに感じられるのだ。
小雨が降り気温の低い中持ち帰ったので、若干冷めてはいるが、それでも風味は少しも損なわれていないのである。


パンも、少し柔らかめのフランスパンという感じで美味しい。
何より、ヴルストとこれほど相性がいい一品はないだろう。
ウインナーだからパンと合うのは当然かもしれないが、一緒に食べるとなお一層旨みが引き立つというのは素晴らしい。


そして意外なことに、マスタードは決して辛くなく、むしろかなり甘いのである。
辛いのが苦手な私だが、これはまるでケチャップかと思わせるほどだ。

これら3品が絶妙にマッチされ、この味を生み出している。
正直感動する味だ!
しかも大きさもそこそこあり、十分に堪能できるのが嬉しい。

私は『海外で今までに食べた美味しい料理リスト』の一品として、迷うことなくこれを加えることにした。


日本のものとほぼ同じ味がするコカコーラzeroを飲みながら、ブラードヴルストを食べ終えた私は、正方形の板チョコレートを開けた。
これはそれほど珍しい味ではないが、甘すぎるという印象のある海外製のチョコレートが多い中で、
ドイツのチョコは決して甘すぎず、日本のものと近いという印象を受けた。
味は微妙に違いはするが、この発見は私にとって興味深いことである。

ドイツの味を堪能した私は、ようやっと落ち着いて部屋を見渡す余裕を得られた。
入り口のドアがあって、入って左にシャワー室とトイレ。
ここのトイレはボタンが壁についているのだが、それがかえって分かりやすかった。
シャワーの使い勝手も昨日の宿とたいして変わらないようだ。
  

あとは入り口から見える位置に机と椅子、少し高めの台にテレビ。
入り口からは見えないが、その机の前にベッドが置かれてある。


テレビの奥には小さな窓が設置されてあり、どうやらこの窓は、噂の「予想外の動きをする」窓であるようだ。
このタイプの窓はドイツでは一般的なもので、2種類の開け方ができる。

まず取っ手を上に向けて開けると、窓枠の下辺が固定されて上だけが少しだけ開く。
そして取っ手を横に向けて開けると窓枠の右辺が固定されて、普通の扉のように開くのだ。
窓を全開にするには、この方法で開けるらしい。

窓からの眺めは、裏道なので殺風景だった。


2日目だし、街の散策はこんなところだろう。
しかし今日の夕食は簡単な食事ではあったが、久々にごちそうを食べられた気がする。
私は荷物を整理し、シャワーを浴び、ベッドに潜った。

ミュンヘンは居心地が良さそうな場所だ…。
まだ到着して数時間程度にも関わらず、私は明日のこの町の散策を楽しみにしながら、今日はゆっくりと眠りにつくことができた。


  ⇒次の頁『ドイツ1人旅(3/5)』へ進む


■ TOPに戻る | ▲ 目次に移動 | ▲ このページの一番上に移動 | ★ 海外旅行記一覧へ(日付順)(エリア別)

旅行記について

   海外旅行記

   国内旅行記

旅の写真

ワールドレポート

旅の準備

旅の裏技

旅のスタイル

旅の喚起

旅のデータ集

日本国内資料集

全世界の資料集

世界の情報集

旅のリンク

その他雑記


● 全ページの一番下で
サイト内検索が可能です