◆ 〜第三幕〜 ◆
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幽玄
満を持して陽炎座は
隠し続けた牙を露わにした。
万感の想いを乗せ、巨大船「焔口鬼」は
郷田城下へと向かう。
全ては忍びの世を創る為。
奮迅する彼らの先に
見えるものは果たして何なのか。
穏やかな海原が荒波へと変り、
これから始まるであろう
壮烈なる死闘を予感させた。
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■ 終焉の陽炎 ■ |
ついに記憶の戻った龍丸だが、香我美の為に命を捨てる覚悟をし、決戦の場へと挑む。
一、命を賭して、焔口鬼を守れ |
一、船から落ちれば海の藻屑なり |
一、強敵に備え、忍具を携帯を怠る無かれ |
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〜 任務開始時 〜 |
焔口鬼の見張り台にて、眼下に広がる戦場を見つめていた。
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香我美 |
「
我が方が押され始めたか…
しかしこの焔口鬼を落とすには
及ぶまい
」 |
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龍丸 |
「
もうじき弟弟子達がやってくる
俺が食い止めよう
」 |
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香我美 |
「
…そうか
お前は過去を取り戻したのだな…
…ならば何故に戻ってきた!?
」 |
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龍丸 |
「
一度はお前に救われた命
生死は預けた
死に場所はお前が
見つけてくれると言ったではないか
」 |
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龍丸 |
「
命を預けた主が必死に耐えている
せめて心の支えに
なりたいと思ってな
」 |
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背を向けた龍丸に、香我美は後ろからひしと抱きついた。
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香我美 |
「
…お前だけが
お前だけが私に涙を流させる
捨て去った筈なのに…
もし運命が違っていれば…
私は…お前と……
」 |
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陽炎座の頭としてではなく、一人の女としての言葉だった。
龍丸はそっと香我美の涙を拭き取ると、再び背を向けた。
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龍丸は香我美に背を向けたまま、
最後にそう言い残して戦場へと旅立っていった。
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〜 全ての敵を殲滅後 〜 |
焔口鬼の中央甲板にて、陽炎座の忍者達が1人の武将を囲んでいる。
二刀流に構えた隻眼の武将は、瞬く間に陽炎座忍者達を斬り捨てていく。
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橘十兵衛 |
「
貴様は龍丸!
まさか…生きていたのか?
」 |
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龍丸 |
「
龍丸はもう死んだ
俺は青龍…
かつての仲間とて
主が違えば敵同士
容赦なく来い!
」 |
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橘十兵衛 |
「
良かろう
お主とは剣術指南役の肩書きを捨て
やり合いたかったのだ
いざっ!
」 |
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※ 橘十兵衛登場後にやられた時 |
橘十兵衛 |
「
何故だ!
お前の腕は死んでいたぞ
羅刹の如き切れ味は
何処へ行ったのだ!?
」 |
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息絶えた龍丸を抱え、橘十兵衛は空を見上げていた。
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〜 橘十兵衛戦に勝利した時 〜 |
焔口鬼の甲板。
龍丸は、自分の元へ来るであろう彩女を待っていた。
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無言でうなずく彩女。
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甲板にて闘いを続ける龍丸と彩女。
龍丸も十六夜を抜き、互いの刀を打ち付ける。
ついに彩女の渾身の一撃が、龍丸を、十六夜を弾き飛ばした。
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吹き飛んだ十六夜を彩女はすかさず手に取り、倒れた龍丸の首の前で止めた。
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躊躇する彩女…。
覚悟を決めた龍丸は十六夜の刃を掴み、自らの胸を刺したのだった。
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龍丸はそう言葉を残し、ついに事切れたのだった。
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※これより下はネタバレが含まれていますので、
ご覧になる方はドラッグしてお読み下さい
(エンディングですので)
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香我美は最後の力を振り絞り、既に事切れた龍丸の胸に縋りついた。
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香我美 |
「
…た…龍丸…
…初めて、お前の名を呼んだな…
わかって……おったのだ…
お前に会った時から……
誰かの為に……生きてみたいと…
」
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降り注ぐ火矢、炎上する焔口鬼。
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香我美は龍丸の胸に顔をうずめて、後を追うように静かに事切れたのだった。
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巨大船 焔口鬼は、炎上しながら崩れ去っていった。
焔口鬼から飛び立った一羽の海鳥が、淋しそうに月へ向かって飛んで行った。
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※ここから下は、天誅弐のゲーム中で最大のネタバレが含まれています。
まだ龍丸編をクリアされていない方が見てしまうと、確実に楽しみが失われます。
閲覧の際には、十分にご注意ください。
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絶海を漂う、巨大船 焔口鬼。
骸が転がり、船体は炎上し、次第に崩れ去っていく。
炎につつまれた甲板で、一つの影が起き上がった。
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なんとそれは、力丸が仕留めたはずの、陽炎座四天王、朱雀であった。
徐に、両目の眼帯を外す朱雀。
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盲目であったはずの朱雀だが、その目には光が入っているようだった。
まるで鬼の様な形相、長い髪、不敵な笑み…。
…そう、朱雀は、後に東忍の敵となる、鬼陰だったのだ!
当然、陽炎座と心中するつもりは毛頭なかったのである。
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鬼陰 |
「
此度の戦は、楽しめた…。
東忍流か。面白い。
多く血は流れた、だが…
……足りぬ!
もっと血を!血を捧げよ!
復活の時は近い、我が主、冥王よ!
映しを渾沌へと導きたまえ。
フ…ハハハハハハハハ
ハァハハハハハハ……
」 |
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