郷田松之信 |
「
おぉ…
我が城が燃える…
…身を知る雨とはよく言ったものだ
」 |
|
炎上する郷田城を見て、松之信はその場に崩れ落ちた。
|
|
|
背後に馬の声がした。
乗っていたのは、郷田家筆頭家老、関谷だった。
|
|
郷田松之信 |
「
おお、直忠
其方も無事の様じゃな
」 |
|
関谷直忠 |
「
其方が力丸じゃな?
話は十兵衛から聞いておる
どのように感謝したら良いものか…
」 |
|
|
|
|
|
関谷直忠 |
「
恐れながら申し上げます
基秀殿の手に掛かり奥方様は
お亡くなりに…
また姫様も何処かに
連れ去られました
東の彩女が追っておりまする
」 |
|
郷田松之信 |
「
何じゃとっ!叔父上がそこまで…
」 |
|
|
郷田松之信 |
「
…そなた達のせいではない
全て…全ては儂の…
」 |
|
関谷直忠 |
「
殿…内乱に乗じ
隣国の戸田義貞が挙兵
恐らくは基秀殿と通じていたものと
思われまする
ご決断を…
」 |
|
郷田松之信 |
「
なに!?戸田義貞
奴が裏で糸を引いていたのか…
卑劣な真似を…
」 |
|
力丸 |
「
基秀共々戸田が首
拙者が貰い受けて参りまする
」 |
|
戸田の卑劣さに、力丸は怒りを顕にした。
|
|
力丸 |
「
諸悪の根元は絶たねばなりませぬ
松之信様のため鬼と化し…必ず
」 |
|
松之信と関谷を背に、力丸は走り出した。
|