戸田本陣に到達した彩女は、本陣の側の大きな木の枝から、
陣内の様子を窺っていた。
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郷田基秀 |
「
戸田殿、かたじけない
松之信めを仕留め損なったわ
だが、彼奴めには深手を負わせた
加えて弱みたる一粒種…
ごらんの通り
儂に兵を貸して下され、戸田殿
もう一息で御座る
」 |
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戸田義貞の合図と共に、基秀の後ろにいた基秀兵は、戸田の私兵に刀で斬り倒された。
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戸田義貞 |
「
はっはっはっはっはっはっはっはっ
郷田領は儂が貰い受ける
我が属領としてな
」 |
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郷田基秀 |
「
は、話が違うではないか
共に覇権を分かち合おうと…
ぐ、ぐぇ〜
」 |
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慌てふためく基秀に、戸田は正面から斬りかかった。
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戸田義貞 |
「
勝利の美酒は
己一人で味わうものよ
」 |
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戸田義貞 |
「
人質を取ってきた貴様が何を言う
今は乱世
だまされる方が悪いのだ
だまされる方がな
ハハハハハハハハハハハ…
」 |
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郷田基秀 |
「
松之…信…
わ、儂がおろかで…
が…ぁぁ…
」 |
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戸田義貞 |
「
姫を例の小屋へ運べ
丁重にな
郷田攻略の切り札になるやもしれん
」 |
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彩女 |
「
トカゲの尻尾切りかい
上には上がいたもんだね
…まったく
待ってな、姫
」 |
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