力丸の攻撃に、畳に腰をつけた基秀。
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力丸は止めをさそうと、刀を斬り下ろした。
ところが、なんと松之信が基秀を覆い庇ったのである。
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唖然とする力丸、
刀を放って松之信を抱え上げる。
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郷田基秀 |
「
ふっふっふっふっふっふ
…つくづく甘い男よのぉ
ぬふふふ…
」 |
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その隙に基秀は笑いながら逃げていった。
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部屋に入ってきたのは、郷田家の剣術指南役、橘十兵衛だった。
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郷田松之信 |
「
十兵衛!
儂を救いしは、この力丸ぞ!
」 |
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橘十兵衛 |
「
力丸?
おお、紫雲斎のところの…
我が主を救いし事、礼を申す
殿、基秀様の兵が
迫っておりまする。
早くお逃げくだされ!
」 |
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郷田松之信 |
「
ならぬ!
佳と菊を…置いては行けぬ…
」 |
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力丸 |
「
奥方様と姫様の元には
彩女が向かっております
」 |
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郷田松之信 |
「
君主として城を捨てる訳には
いかぬ…
」 |
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橘十兵衛 |
「
民あっての君主なれば
君主あっての民では
御座いませぬか!
」 |
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そのとき、不意に基秀兵が背後から斬りかかってきた。
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十兵衛は瞬時に斬り倒した。
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橘十兵衛 |
「
早く抜け道よりお逃げ下され
力丸、殿を頼んだぞ…
」 |
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力丸は殿の間の掛け軸を捲り、
殿を連れて抜け道を通っていった。
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