天守閣へ到達した龍丸。
見ると、何者かが屋根の上で衣装を纏い、太刀を持って能を舞っている。
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龍丸の気配に気づくと、間合いを積めて手にした太刀で斬りつけてきた。
龍丸はその攻撃を手甲で防ぐと、十六夜で相手の衣装を斬り裂いた。
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香我美 |
「
ほう
その刀は十六夜
東の老いぼれめ
跡目を譲ったか
」 |
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龍丸 |
「
戸田の飼い犬か…
積年の因縁
ここで断つ!
」 |
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香我美 |
「
因縁だと?
武家同士の争いが創りし幻を
そう呼ぶのか?
共に新しき世を創らぬか…?
忍びが治めし新しき世を…
」 |
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香我美 |
「
己が夢に生きずして
何に活を見いだすのじゃ…
」 |
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龍丸 |
「
忍びとは生きていぬ者
されど死していぬ者
故に、如何なる主の命にも
従えるというものだ
」 |
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香我美 |
「
馬鹿らしい!
他人が為に生き
他人が為に死ぬ
目を覚ませ
腕さえあれば天下も望めるものを…
カビの生えた様な考えは捨て
妾と共に来い
縛られて生きし者など
操り人形と変わらぬわっ!
この人形っ!
」 |
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香我美 |
「
言葉に惑いが溢れておるわ
まあよい
妾の夢に加わるも自由
加わらぬも自由…
青龍!
」 |
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屋根のさらに上から、仮面をした男が鉄球を振り回しながら現れた。
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香我美 |
「
ここで死ぬるは
お前の天命かもな…
」 |
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香我美はそういうと、暗闇の中へ姿を消した。
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