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安らぎを求めるかのようにすがりつく雪蛍に一瞥をくれると
朱雀は無情にも、無造作にその白い首に刀を突き通した。
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朱雀 |
「
弱者に興味はない
我が求めるのは強者のみ
」 |
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朱雀は力丸の方を振り向いた。
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朱雀 |
「
改めて名乗ろう
我が名は朱雀
陽炎座四天王が一人
」 |
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朱雀 |
「
龍丸?
…青龍の事か
陽炎座四天王として
生まれ変わったのだ
旧き因縁を捨ててな
」 |
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朱雀 |
「
信じるも信じぬも勝手
貴様らの知っている奴は
もうどこにも居らぬ
ふふふふふ
ははははははははははは…
」 |
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朱雀 |
「
どうだ、貴様も我等の元に来ぬか?
共に忍びの世を築こうではないか
」 |
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朱雀 |
「
そうだ
武家でも、公家でもなく
力こそが意味を持つ
強者だけの自由な世だ
」 |
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力丸 |
「
暴虐の限りを尽くして何が自由か!
正義無き者に付く気はない
」 |
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朱雀 |
「
正義?笑止な
強者こそが世の正義とならん事を
知らぬのか
」 |
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力丸の純粋な想いをあざ笑うかのように、
朱雀は手元に漂ってきた蛍を握りつぶした。
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朱雀 |
「
ふん
まあ良い
いずれにせよ貴様は我等が元に…
どうせ、今頃貴様が帰るところなど
無くなっているのだからな…
ははははは
」 |
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朱雀 |
「
分からぬか…
ふっははははは
ふっはっはっはっはっはっはっは
はっはっはっはっはっはっはっ
はっはっはっはっはっは
」 |
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朱雀は笑いながら去っていった。
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力丸は朱雀を追って出口に向かったが、
表に出たところで忍びの里の伝書鳩がやって来た。
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