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当時騒然となった天誅版権問題について、軽く解説します。 アクワイア社は長きに渡り、天誅シリーズ(「天誅」、「TENCHU」、「天誅忍凱旋」、 「天誅忍百選」「TENCHU2」「天誅弐」)を作り続けてきました。 背後から攻撃すると一撃で敵を倒せるという、斬新なアイデアを駆使した名作であり、 世界一有名な忍者ゲームとして、海外ではミリオンヒットを成し遂げた名高いゲームソフトです。 今でも『天誅は面白いゲームだ』と思い続けているユーザーも多いでしょう。 ゲームを一通り嗜んでいる方なら、このタイトルを知らない方はいないはずです。 事件が起こった具体的な日時は不確かですが、2000年の春と推定されます。 他の会社が天誅を開発することになってしまい、 アクワイア社は企画はおろか、デザインにもタッチ出来なくなってしまいました。 何故このような事が起こるのか、その真意はユーザーである我々はもとより、 アクワイア社のスタッフさんですら把握することができませんでした。 天誅の企画を立ち上げ制作してきたスタッフさんの意味とは…。 タイトルが原作者の意図に反して売買されるゲーム業界。 無念の一言に尽きるとスタッフさんがもらしています。 |
事の経緯をスタッフさんが当時公開されていました。 その時の内容を説明しますと── 遠藤さんはゲーム開発会社を目指してアクワイア社を立ち上げました。 様々なソフト開発などをしながら、ゲームの開発を夢見て企画の 持ち上げをしておられました、その中の一つが「天誅」。 なんとか企画が認められソニー・ミュージックエンタテインメント(以下、SME)が 開発費を出してくれることになったのですが、その際に、著作権はSMEにないと 契約が出来ないということであり、お金にも仕事にも困っていたスタッフさんたちが 渋々契約することになりました。 その後、天誅は世界的な成功を収めることになったと──。 海外向けTENCHU2を製作している間、SMEが音楽に専念するということで、 ゲーム部門の撤廃をすることが決定されました。 遠藤さんはじめスタッフさんは、非常に苦悩されたそうです。 このままではタイトルは潰れるか、他の会社に売られてしまってどうなるか分からないと…。 悩んだ末、SMEから権利を取得したいと思われたそうです。 大きなビジネスチャンスでもあるし、私たちには実力があると思ったからだと。 しかしSMEが提示した金額があまりにも高額であったために、 結局スタッフさんには買い取る事が出来ませんでした。 オリジナルを作ってきたスタッフさんが何故、買い戻すのにそれ程の高いお金が必要なのか? たかが開発会社が何億も持っているわけではないと。 高いというのも天誅が成功した証に他ならないが、 担当者が代わる中で天誅がただの商人になっていったようなのです。 そこで海外の販売会社であったアクティビジョン社に資金的な協力をしてもらい、 日本地域と海外地域で分けた権利を手にする事になったそうです。 その間にスタッフさんは日本語版の天誅弐を発売し、PS2天誅参を作る予定だったそうです。 それから裏方で一体何があったのかは、スタッフさんすら推し量ることができません。 突然、SMEがアクティビジョン社のみに権利を譲渡してしまったそうです。 何故そんな事が…作品性や原作者を無視した会社の思惑+お金が働いたとでも? 既に権利を取得する予定であり、天誅弐の国内販売を進めてしまっている以上 引き返す事は出来ず、泣く泣くアクティビジョン社に売り上げの著作権料を支払う事で、 販売をすることになったそうです。 結果として天誅弐は10万本を越える売り上げとなり、様々な支払いをしながらも なんとか黒字にすることが出来たそうです。 これもひとえに天誅弐を買っていただいた皆様のおかげであると──。 以上がスタッフさんのコメントを元に作成した文章です。 それ以降も交渉をし続けたそうですが、結果、このような形になってしまっています。 |
以前にこの問題が公表された時、ネット上の各天誅サイトには衝撃が走りました。 特にアクワイアの公式サイトには連日のようにログが流れ、様々な方が不平を訴えられました。 天誅参を買わないという運動をされる方や、それを支持する方、 専用の掲示板を立ち上げ、広く同意を求められようとしていた方もおられました。 しかしながら、やはりユーザーの手で何とかできる問題ではなく、 騒動で対した成果は得られなかったようです。 次に天誅参を作ることになったアクティビジョン社についての話題も飛び交いました。 天誅弐を製作する時にアクワイアさんが資金協力をお願いした会社なのですが、 聞いた話ですと、どうもあまり評判の良い会社ではないようですね。 天誅の製作の中で販売会社と折り合いをつける際、スタッフさんはSMEとも 苦労されたようですが、アクティビジョン社はもっと苦労されたのだと思います。 アクティビジョン社はアメリカの会社であるため、忍者の持つイメージが異なるそうです。 忍者は派手に。主人公が目立たないのは何事か。 覆面などもっての他だから取るべきだとなどと言われたそうです。 しかも、撒き菱という忍具は存在すら知らなかったそうです。 アクワイア社が愛着を持っていた忍具、五色米などは論外だそうで、 スタッフさんは忍具を残すのに大変な思いをしたと思います。 このような会社が日本の伝統ある忍者ゲームを作るとは何事か、と ユーザーの皆さんは当然憤りを覚えるわけで、 天誅参を買わないという運動をされていたのにも納得がいきます。 後に分かったことなのですが、天誅参を開発するのはK2というできて間もない会社で、 アクティビジョン社の子会社のようです。 開発社と販売社は決して同じではありませんし、K2というのは日本にある会社であり、 スタッフさんも日本人の方ばかりです。 ですので、少なくとも日本人が開発を行うのですから、 アクワイアさんがこだわり続けていた天誅の和の雰囲気は、損なわれる心配は薄いようです。 |
スタッフさんのコメントが公開されて数日後、 マスコミや報道関係の方々を騒がせてしまうとして、 コメントの書き換えが行われていました。 加えて、アクティビジョンの副社長からのコメントもありました。 この中で、全ての国の天誅ユーザーを満足させる作品にするとありますが、 果たしてそれが可能なのでしょうか。自信を持って言えることなのでしょうか。 どうもこれを見ていると、遠藤さんはじめアクワイアスタッフさんが、 アクティビジョンにコメントを書かされているようにも見えます。 後ろで腕を組みながら見下しているのでしょうか。 アクティビジョンの所業は決して軽視できるようなものではないのですが、 これほど大きな会社ともなると、多少あくどい所業であっても、 そのまま何も無かったように収まってしまいます。不条理な世の中ですね。 しかしながら天誅参の開発を行うK2社は、開発会社として新たに立ち上げたもので、 アクティビジョンの所業に対しての反発を向ける事はできません。 K2のスタッフさんはただ天誅参を作るだけで、 本当に信用問題を損ないかねないのは親会社のアクティビジョンだけなのです。 アクティビジョン社は直接ゲームを作っているわけではないのですが、 製作を行わせているゲームには間違いなく干渉してくるでしょう。 その中で、天誅の和の雰囲気が幾分削られるのではないかと 当初からの天誅ユーザーの方々は心配しておられることでしょう。 ともあれ、アクティビジョン社が掲げた天誅参がどれほどのゲームになるのか、 お手並み拝見というのが、当時からのユーザーの皆さんの現状だと思います。 |
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